税務調査の書面添付制度とは?調査前の意見聴取と対応する顧問税理士の探し方

税務調査の書面添付制度の仕組みと対応する顧問税理士の探し方を解説する記事のアイキャッチ

当サイトは国税庁・日本税理士会連合会などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。

税務調査が少しでも減るなら、そういう仕組みを使いたい。調べているうちに「書面添付制度」という言葉を見つけた方もいますよね。

結論から言うと、書面添付制度は、税務調査の通知の前に税理士が意見を述べる機会をもらえる仕組みです。この記事を読めば、制度の中身と調査への影響、対応してくれる顧問税理士の探し方が分かります。

税務調査の書面添付制度とは?

先に結論

書面添付制度は、税理士が申告書の作り方などを書いた書面を申告書に添えて出すと、税務署が調査の日時を納税者に通知する前に、税理士に意見を述べる機会を与えなければならない制度です。意見聴取で疑問が解ければ調査に至らないこともありますが、国税庁は調査の省略を前提にした制度ではないとしています。

『書面を付ければ、税務調査が来なくなるの?』と思った方もいるはずです。

実は、そう単純ではないんです。ただ、調査の前に税理士が説明できる場があるのは、会社にとって心強いことですよね。

書面添付制度は税理士法第33条の2にもとづく制度で、平成13年度の税理士法改正で今の形に広げられました。税理士が作る書面は「計算事項等記載書面」と呼ばれます。

この書面には、税理士が申告書を作る時に計算したこと、整理したこと、相談を受けたこと、確かめたことなどを書きます。つまり、申告書がどうやって作られたかを、専門家の立場から税務署に伝える書類なんです。

税理士にとってはどんな意味がある?

国税庁は、意見聴取を「税理士にのみ与えられた権利」と説明しています。税理士以外の人が同じ書面を出しても、この仕組みは使えません。

書面を出すと、税理士がどこまで確かめて申告書を作ったかが、税務署にも分かるようになります。税理士の責任の範囲がはっきりするので、引き受ける側も慎重に中身を確かめることになるんですね。

会社の側から見ると、申告書の数字の裏付けを、専門家がもう一度見てくれるということです。結果として、申告の誤りに早く気づけることもあります。

書面を添付すると何が変わる?

添付した場合としない場合の違いを表にまとめました。

場面書面添付なし書面添付あり
調査の前納税者(または税理士)に事前通知が来る通知の前に、税理士に意見を述べる機会がある
税務署の使い方申告書と決算書などで判断書面の内容も申告の審理や調査の要否の判断に使われる
疑問が解けた時調査に進む調査に至らないこともある
税理士の責任の範囲税務署からは見えにくいどこまで確かめたかが書面で示される
書面添付制度で税務調査の前に税理士が意見を述べる流れを示した図解

国税庁の税理士制度のQ&A(書面添付・意見聴取制度)では、書面に書かれた事項は、申告の審理や調査の要否の判断で積極的に使うとされています。

調査は無くなるの?

ここは誤解しやすいところです。国税庁は、意見聴取で疑問が解けて調査に至らないことはあり得るとしつつ、書面は調査の省略を前提にしたものではないと明記しています。

『じゃあ意味がないのでは?』と感じるかもしれません。ただ、調査の前に税理士が数字の増減の理由や会計処理の変更を説明できるのは、大きな違いです。

意見聴取はどんな流れで進む?

意見聴取は、税務代理権限証書を出している税理士に対して行われます。大まかな流れは次のとおりです。

意見聴取の流れ
  1. 税理士が計算事項等記載書面を作り、申告書に添付して提出する
  2. 税務署が調査を考えた時、調査の通知予定日の1〜2週間前までに税理士へ電話で連絡が来る
  3. 意見聴取の日時と方法を決める
  4. 税理士が書面の内容について意見を述べ、税務署の担当者からも具体的な質問がある
  5. 疑問が解ければ調査に至らないこともあり、解けなければ調査の通知に進む

例えば、前の年より売上が大きく伸びた会社なら、こんなやり取りが考えられます。

「売上が増えたのは、新しい取引先と大口の契約を結んだからです。契約書もお見せできます」
「分かりました。外注費が増えた理由も教えてください」

なお、事前通知をしないで行う調査の場合は、意見聴取も行われません。

意見を述べるのは誰?

意見聴取の連絡が来るのは、いま税務代理権限証書を出している税理士です。書面を作った税理士と、いまの税理士が違う場合も、いまの税理士に連絡が行きます。

税理士事務所に勤めている所属税理士も、事務所の開業税理士の指示のもとで意見を述べられます。担当者が誰になるかは、契約の時に聞いておくと安心です。

意見聴取の後に修正申告をした場合

意見聴取の質問だけがきっかけで、調査の通知の前に修正申告をした場合は、加算税はかからないとされています。調査の通知の後に修正申告をすると、加算税がかかる場合があります。

調査の事前通知そのものの仕組みは、税務調査の任意調査とはや税務調査の流れの解説で詳しく解説しています。

書面添付に対応する顧問税理士の探し方

『書面添付をしてくれる税理士って、どうやって探せばいいの?』と迷いますよね。

書面は税理士が自分の責任で作るものなので、ふだんから帳簿や取引の中身をよく見ている顧問税理士の方が頼みやすいはずです。面談では、次の点を聞いてみてください。

面談で聞いておきたいこと
  • 書面添付をしている申告があるか
  • 書面を作る時に、どの資料をどこまで確かめるか
  • 書面添付をする場合の料金が顧問料に含まれるか、別料金か
  • 意見聴取の連絡が来た時、どう対応するか
  • 毎月の記帳や月次の確認をどこまでしてくれるか

税理士を探す時の入口

税理士と税理士法人は、事務所のある地域の税理士会に入り、日本税理士会連合会に登録されています。候補の税理士が登録されているかは、日税連の「税理士情報検索サイト」で調べられます。

知り合いの紹介や無料の紹介サービスを使う方法もあります。どの方法で探しても、最後は面談で書面添付への考え方を直接聞いてみるのが近道です。

書面添付の料金にも公的な基準はなく、事務所ごとに違います。税理士の報酬は平成14年に自由化されているので、見積もりで確かめておきましょう。顧問料の相場は税理士の顧問料相場にまとめています。

例えば、年商8,000万円で従業員10人ほどの会社なら、毎月の帳簿を税理士が見る契約にしておくと、書面に書ける内容も増えていきます。逆に、決算の時だけ資料を渡す形だと、書面添付を引き受けてもらいにくいこともあります。

いまの税理士が書面添付をしていない、調査のたびに対応に追われている、決算の中身をもっと説明してほしい。こんな状況なら、書面添付に対応している顧問税理士を探してみるのも一つの手です。

税理士ドットコム

あなたの業種・規模に合う顧問税理士を無料で紹介

記帳や申告に手が回らない、法人化を考えている、今の税理士の対応に不満があるといった場合は、条件に合う顧問税理士を紹介してもらうのが近道です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から、予算や業種に合う税理士を無料で紹介してもらえます。

紹介料無料税理士ドットコムで顧問税理士を紹介してもらう

(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)

よくある質問

書面添付制度を使うと、税務調査は来なくなりますか?

来なくなるとは言えません。意見聴取で疑問が解けて調査に至らないことはありますが、国税庁は調査の省略を前提にした制度ではないとしています。

書面を作った税理士と、いまの税理士が違う場合はどうなりますか?

意見聴取は、現在税務代理権限証書を出している税理士に対して行われます。

個人事業主でも書面添付制度は使えますか?

書面添付制度は税理士法の制度で、国税庁は個人課税部門向けの運用指針も出しています。自分の申告で使えるかは、依頼する税理士に確認してみてください。

書面添付をお願いすると、税理士の費用は上がりますか?

税理士の報酬に公的な基準はなく、書面添付を顧問料に含める事務所も、別料金にする事務所もあり得ます。面談の時に、書面を作る手間も含めた見積もりをもらっておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 書面添付制度は、調査の通知の前に税理士が意見を述べる機会をもらえる制度
  • 書面は申告の審理や調査の要否の判断にも使われる
  • 調査に至らないこともあるが、調査の省略を前提にした制度ではない
  • 対応してくれるかは、面談で資料の確認範囲や料金と合わせて聞く
顧問税理士の選び方ナビ

顧問税理士の選び方ナビ 編集部

個人事業主・フリーランス・会社経営者が、自分の状況に合った顧問税理士を探せるよう、公的機関の公開情報をもとに費用・探し方・頼める範囲を解説しています。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!