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お客さんが増えてスタイリストも雇うようになり、『そろそろ法人にしたほうがいいのかな』と考えているオーナーさんも多いはずです。
結論から言うと、美容室の法人化は、税金の話より先に「スタッフの社会保険」と「店舗の契約の名義」で負担が大きく変わります。
この記事では、美容室が法人化を考える目安と、社会保険と賃貸借契約で確かめておきたいことが分かります。
美容室が法人化を考える目安は?
美容室の法人化に公的な基準額はありません。利益が数年続いて安定している、スタイリストを増やして採用を強くしたい、2店舗目の出店を考えている。こうした変化が重なった時が、社会保険料も含めて税理士に試算を頼む目安です。
美容室は、技術売上と店販の売上が現金やカードで毎日入ってくる商売ですよね。
売上が伸びると『会社にすれば税金が安くなるはず』と考えがちです。ただ、美容室の場合は、法人にした時点でスタッフの社会保険の扱いが変わるので、そこを外して試算すると見込みが大きくずれてしまうんです。
自分のお店の状況に近い所を見てみてください。
| お店の状況 | 考え方の目安 |
|---|---|
| オーナー1人か、スタッフ1〜2人で営業している | 個人のまま帳簿と申告を整えるのが先 |
| スタイリストが増え、利益が数年安定している | 社会保険料を含めた手取りを試算してもらう |
| 採用のために社会保険を用意したい | 法人化と任意適用の両方を比べてみる |
| 2店舗目の出店を考えている | 借入や契約の名義も含めて法人化を検討する |
例えば、年商1,500万円で、オーナーとアシスタント1人で営業しているケースです。この場合は、まずは個人のまま記帳と申告をきちんとしておくほうが先になります。
一方で、年商4,000万円で、スタイリスト5人を雇い、2店舗目の物件を探しているケースもあります。こうなると、社会保険、借入、契約の名義をまとめて考える時期なので、試算の価値があります。
スタイリストの社会保険はどう変わる?
ここが美容室の法人化で大事なところです。
日本年金機構の説明では、従業員が常時5人以上いる個人の事業所でも、農林漁業やサービス業などは厚生年金保険の強制適用の対象から外れています。一方で、株式会社などの法人の事業所は、事業主のみの場合も含めて適用事業所になります(日本年金機構 適用事業所と被保険者)。
つまり、個人の美容室なら社会保険に入っていなかったお店でも、法人にすると、条件に当たるスタッフは健康保険と厚生年金に入ることになります。
保険料は会社とスタッフで負担します。会社の負担分が毎月の固定費に加わるので、『利益は出ているのに手元のお金が減った』と感じるお店もあるんです。
採用で有利になる面もあります
社会保険があることは、求人を出す時に安心材料になりますよね。
スタッフから聞かれることも増えています。
「こちらのお店は、社会保険に入れますか」
「法人にしたので、来月から加入の手続きをしますね」
なお、法人にしなくても、従業員の半数以上の同意を得て申請し、認可を受ければ任意で適用事業所になる方法もあります。法人化と任意適用のどちらが合うかは、税理士や社会保険労務士に相談してみてください。
店舗の賃貸借契約や設備の名義はどうする?
法人にしても、お店の契約は自動で会社に移るわけではありません。
店舗の賃貸借契約は、個人のオーナーさんの名前で結んでいることが多いですよね。会社名義に変えるには、大家さんや管理会社の同意が必要です。名義の変更で、保証金や保証人の条件を見直されることもあります。
『契約を変えるのが面倒だから個人のままにしておこう』と考える方もいます。ただ、会社が使う店舗の家賃を個人が払う形が続くと、お金の流れが分かりにくくなります。どう扱うかは税理士に確認しておきましょう。
- 店舗の賃貸借契約を会社名義にできるか、大家さんや管理会社に確認した
- シャンプー台やセット面などの設備を、会社に移すか個人のままにするか決めた
- リース契約や予約システムの契約名義の変更方法を確認した
- 保健所への届出の扱いを、法人化の前に保健所へ問い合わせた
- 事業用の口座とカード決済の入金先を、会社の口座に変える準備をした

2店舗目を出す時の資金
2店舗目の出店には、内装や設備のまとまった資金がかかりますよね。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める人や、事業開始後おおむね7年以内の人が対象です。融資限度額は7,200万円とされています(日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金)。
認定経営革新等支援機関である税理士などから指導と助言を受けている場合は、特別利率の対象になる条件もあります。出店の計画を立てる段階で、税理士に事業計画書づくりから相談しておくと進めやすいです。
法人化の前に相談しておきたいこと
法人化の手続きの流れは、会社設立の税理士の選び方と流れにまとめています。人を雇う店舗型の事業の考え方は、パーソナルジムの法人化の目安も参考になります。
消費税の扱いも確かめておきましょう
美容室のお客さんは個人の方が中心なので、インボイスを求められる場面は多くないですよね。
国税庁のタックスアンサーでは、基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として消費税の納税義務が免除されます。ただし、インボイスの登録をしている場合は、1,000万円以下でも免除されません(国税庁 No.6501 納税義務の免除)。
新しく作った会社は、最初の事業年度は基準期間がないので納税義務がないのが原則です。ただし、資本金1,000万円以上で設立した場合は、設立した期から納税義務があります。
個人の時の売上が1,000万円を超えていても、会社にすると判定がやり直しになるわけです。どの時期にどちらで売上を立てるかで消費税が変わるので、法人化の時期は税理士と相談して決めましょう。
法人にすると、法人税の確定申告を事業年度終了日の翌日から2か月以内に出すことになります。スタッフの給与から源泉所得税を預かって納め、年末調整もしていきます。
スタイリストが増えて給与計算が大変、社会保険を整えて採用を強くしたい、2店舗目の出店で借入を考えている。こんな状況なら、美容室の経理に慣れた顧問税理士を探しておくと、出店の判断までまとめて相談できます。
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よくある質問
美容室は年商がいくらになったら法人化すべきですか?
公的な基準はありません。スタッフの人数や社会保険料の負担で手取りが大きく変わるので、売上だけで決めず、社会保険料を含めた試算を税理士に頼むのがおすすめです。
個人の美容室でも、スタッフを社会保険に入れられますか?
日本年金機構の説明では、強制適用でない事業所でも、従業員の半数以上の同意を得て申請し、認可を受ければ適用事業所になれます。手続きは年金事務所や社会保険労務士に確認してみてください。
美容室の税理士費用はどのくらいですか?
税理士ドットコムが示す目安では、年間売上3,000万円から5,000万円未満の法人で、毎月訪問の顧問料が35,000円から、決算料が140,000円からです。給与計算はスポットで1人1,000円が目安とされています。
まとめ
- 美容室の法人化は、スタッフの社会保険の負担を含めて試算する
- 個人の美容室はサービス業で強制適用の対象外でも、法人は適用事業所になる
- 店舗の賃貸借契約や設備の名義は自動では移らない
- 2店舗目の出店は、借入と事業計画も合わせて相談する




