芸能人の法人化の目安は?個人事務所を作る時の役員報酬と出演料の受け取り方

芸能人が個人事務所を作る時の法人化の目安と出演料の受け取り方を解説する記事のアイキャッチ

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出演の仕事が増えてきて、『個人事務所を作ったほうがいいと言われたけど、本当に必要なのかな』と迷っている方も多いはずです。

結論から言うと、芸能人の法人化は「収入の額」より「出演料を会社で受け取れる契約にできるか」で決まる部分が大きいんです。

この記事では、個人事務所を作る目安と、出演料の受け取り方、役員報酬の決め方で気をつけたいことが分かります。

芸能人が個人事務所を作る目安は?

先に結論

芸能人の法人化に公的な基準額はありません。出演料が毎年安定して入る見込みがある、所属事務所が個人事務所との契約を認めている、マネージャーやスタッフを自分で雇う。こうした条件がそろった時が、税理士に試算を頼む目安です。

芸能の仕事は、ある年に大きく稼いで、翌年は落ち着くことがよくありますよね。

法人にすると、決算や社会保険の手続きが毎年続きます。1年だけ収入が多かったからと急いで会社を作ると、翌年以降に負担だけが残ることもあるんです。

周りから『個人事務所くらい作っておいたら』とすすめられることもありますよね。ただ、向いているかどうかは収入の続き方と契約の形で変わるので、人に合わせて決めなくて大丈夫です。

自分の状況に近い所を探してみてください。

今の状況考え方の目安
出演が単発中心で、年ごとの収入の差が大きい個人のまま確定申告を整えるのが先
数年続けて出演料が安定している個人と法人の手取りを税理士に試算してもらう
所属事務所から個人事務所との契約を提案された契約内容を確認してから法人化を検討する
マネージャーやスタイリストを自分で雇う給与の手続きも含めて顧問契約を考える

例えば、年商800万円で、テレビの単発出演とイベントの仕事が年によって大きく変わるケースです。この場合は、収入の見通しが立つまで個人で記帳と申告をきちんとしておくほうが先になります。

一方で、年商3,000万円で、数年続けてレギュラー番組と広告の仕事があり、マネージャーを自分で雇っているケースもあります。こうなると、法人で受け取った場合の手取りを一度出してもらう価値があります。

芸能人が個人事務所を作る前に確認する3つの点を示した図解

出演料は誰が、どこで受け取る?

ここが芸能人の法人化で大事なところです。

個人事務所を作っても、出演料を会社で受け取るには、所属事務所やテレビ局との契約の相手を個人事務所にしてもらう必要があります。

個人で受け取る場合と法人で受け取る場合の違い

国税庁のタックスアンサーでは、芸能人の出演料やモデルへの報酬は、個人に支払う時に源泉徴収が必要な報酬・料金に含まれています(国税庁 No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは)。

一方で、同じページでは、法人に支払う報酬で源泉徴収の対象になるのは、馬主である法人に支払う競馬の賞金とされています。

つまり、出演料を個人事務所で受け取ると、支払う側が源泉徴収をしないで払うのが原則になります。入金の額が変わるので、資金繰りの見え方も変わりますよね。

ただし、源泉徴収されない分は、会社の決算で法人税として計算することになります。お金が減らないわけではない点は覚えておきましょう。

所属事務所との契約で確かめたいこと

所属事務所によっては、個人事務所を通した契約を認めていない場合もあります。

例えばこんなやり取りです。

「来年から、ギャラの振込先を自分の会社にしてもらえますか」

「契約書を作り直す必要があるので、まず内容を相談させてください」

法人化を決める前に、契約書の名義と支払先を変えられるかを先に確かめておくと安心です。

役員報酬はどう決める?

法人にすると、自分が受け取るお金は「役員報酬」になります。

『仕事が多い月は多めに、少ない月は少なめに取ればいい』と考えがちですよね。ただ、それは法人では難しいんです。

国税庁のタックスアンサーでは、毎月同じ額を払う定期同額給与の改定は、原則として事業年度開始の日から3か月を経過する日までに行うものとされています(国税庁 No.5211 役員に支給する給与)。

出演の予定が読みにくい仕事だからこそ、期のはじめに1年分の見込みを立てて報酬額を決めるのが大事です。

社会保険にも入ることになります

日本年金機構の説明では、株式会社などの法人の事業所は、事業主のみの場合も含めて厚生年金保険の適用事業所になります(日本年金機構 適用事業所と被保険者)。

社長1人の個人事務所でも、役員報酬を払えば健康保険と厚生年金に入ります。保険料は会社と本人で負担するので、手取りの試算には保険料も含めておきましょう。

個人事務所を作る前のチェック

法人化の手続きの流れは、会社設立の税理士の選び方と流れにまとめています。ここでは芸能の仕事ならではの確認ポイントを挙げておきますね。

個人事務所を作る前のチェック
  • 所属事務所が、個人事務所との契約に切り替えられるか確認した
  • 出演料の振込先を会社の口座に変える手続きを把握した
  • 衣装や撮影準備の費用を、どちらで負担するか決めた
  • 役員報酬と社会保険料を引いた手取りの試算をした
  • マネージャーなどを雇う場合の給与計算の担い手を決めた

法人にすると毎年やることが増えます

個人の時は、確定申告を1年に1回すれば済んでいましたよね。

法人にすると、法人税の確定申告を事業年度終了日の翌日から2か月以内に出すことになります。決算の数字をまとめる作業も毎年あります。

マネージャーなどに給料を払うと、源泉所得税を納める手続きも加わります。原則は支払った月の翌月10日までで、給与の支給人員が常時10人未満なら、納期の特例で1月から6月分を7月10日、7月から12月分を翌年1月20日にまとめて納めることもできます。

さらに、年末調整や、翌年1月31日までの法定調書の提出もあります。『収録の合間にこれを全部やるのは無理かも』と感じたら、早めに任せる先を考えておきましょう。

衣装代や美容代を経費にできるかは、仕事との関係で判断が分かれます。判断は税理士に確認してみてください。

同じく出演や契約で収入を得る人の考え方は、スポーツ選手の法人化の目安やYouTuberの法人化の目安も参考になります。

出演料の振込先を会社に変えたい、役員報酬の額を決められない、スタッフを雇って給与の手続きが増える。こんな状況なら、芸能の仕事に慣れた顧問税理士を探しておくと、契約や申告の相談がしやすくなります。

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よくある質問

芸能人は年収がいくらになったら法人化すべきですか?

公的な基準はありません。収入が続く見込みや所属事務所との契約の形で向き不向きが変わるので、個人と法人の手取りを税理士に試算してもらうのがおすすめです。

個人事務所に出演料を払うと、源泉徴収はされないのですか?

国税庁のタックスアンサーでは、法人への支払いで源泉徴収の対象になるのは馬主である法人への競馬の賞金とされています。出演料を法人で受け取る場合の扱いは、契約の中身も含めて税理士に確認してみてください。

個人事務所の税理士費用はどのくらいですか?

税理士ドットコムが示す目安では、年間売上1,000万円から3,000万円未満の法人で、毎月訪問の顧問料が30,000円から、決算料が120,000円からです。訪問の頻度で変わるので見積もりで確認しましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 芸能人の法人化は、出演料を会社で受け取れる契約にできるかが前提
  • 個人への出演料は源泉徴収の対象で、法人への支払いとは扱いが違う
  • 役員報酬は原則として事業年度開始から3か月以内に決める
  • 社長1人の個人事務所でも社会保険に入る
顧問税理士の選び方ナビ

顧問税理士の選び方ナビ 編集部

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