記帳代行とは?顧問税理士に記帳から任せる場合の流れと範囲

記帳代行の範囲と税理士に任せる流れを解説する記事のアイキャッチ

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領収書やレシートが箱にたまったまま、帳簿付けが何か月も止まっている。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、記帳代行は「帳簿付けの入力作業を外に任せる」サービスです。税理士に頼めば、記帳から決算・申告まで一続きで任せられます。この記事では、どこまで頼めるか、誰に頼むか、いくらかかるかが分かります。

記帳代行とは?どこまで任せられる仕事?

先に結論

記帳代行とは、領収書・請求書・通帳などの資料を渡して、会計ソフトへの入力や帳簿の作成を代わりにやってもらうサービスです。記帳だけなら代行会社にも頼めますが、申告書の作成や税金の相談まで任せたいなら税理士に頼むことになります。

記帳代行の「記帳」は、お金の出入りを1件ずつ帳簿に記録する作業のことです。会計の言葉では「仕訳(しわけ)」と呼ばれます。

例えば、仕入先に商品代を振り込んだ、売上がカードで入金された、事務用品を現金で買った。こうした取引の一つひとつが1件の仕訳になります。

『入力するだけなら、自分でもできそうだけど…』と思いますよね。

実は、記帳でつまずくのは入力そのものより「どの勘定科目にするか」「この支出は経費に入れていいのか」という判断の部分なんです。ここを毎回迷うと、作業が一気に重くなります。

ここで押さえておきたいのが、税理士にしかできない仕事の範囲です。国税庁のタックスアンサー No.9203 税理士制度についてでは、税理士業務を税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つとしています。

この3つは、税理士や税理士法人などでなければ、無償であっても行えません。一方で、帳簿の入力作業そのものはこの3つに挙がっていません。

そのため、記帳の入力だけなら代行会社などにも頼めます。ただ、申告書を作ってもらう、税金の具体的な相談をする、となると税理士の出番です。

記帳代行で任せられる範囲と、税理士にしかできない申告・相談の範囲を並べた図解

記帳代行の業務内容と、自分でやる作業の分かれ目

『全部任せたら、自分は何もしなくていいの?』という疑問もよく聞きます。

ここが大事なところです。記帳代行を頼んでも、資料を集めて渡す作業は自分の手元に残ります。税理士や業者は、渡された資料を見て入力するからです。

一般的な記帳代行の業務内容と、依頼する側に残る作業を並べてみます。

作業記帳代行で任せられること自分に残ること
資料の受け渡し受け取った資料の確認領収書・請求書・通帳のコピーをまとめて渡す
仕訳の入力会計ソフトや帳簿への入力用途が分からない支出のメモを付ける
帳簿の作成仕訳帳・総勘定元帳などの作成現金の残高を数えておく
月ごとの数字試算表の作成(頼んだ場合)数字を見て経営の判断をする
決算・申告税理士に頼めば決算書・申告書の作成まで内容を確認して署名・提出の判断をする

例えば、現金で払った打ち合わせのお茶代。レシートだけだと、誰と何の用事だったのかは本人にしか分かりませんよね。

こうした「相手」と「目的」のメモは、代行先がどこであっても依頼する側が書く部分です。ここを先に付けておくだけで、問い合わせの往復がぐっと減ります。

もう1つの分かれ目が、会計ソフトを誰のものにするかです。代行先のソフトで入力してもらう形もあれば、自分の会計ソフトに入力してもらう形もあります。

自分のソフトに入れてもらうと、いつでも数字を見られる半面、ソフトの契約は自分で持つことになります。どちらが合うかは、数字をどれくらい頻繁に見たいかで決めてみてください。

記帳代行の業者は3種類|税理士事務所・代行会社・個人

記帳代行を頼める先は、大きく分けて税理士事務所、記帳代行会社、個人の外注先の3つです。

『安いところに頼めばいいのでは?』と考える方もいますよね。ただ、頼み先によって「その先の申告まで任せられるか」が変わるんです。

頼み先記帳の入力決算書・申告書の作成税金の相談向いている人
税理士事務所・税理士法人頼める頼める頼める記帳から申告まで一続きで任せたい人
記帳代行会社頼める頼めない頼めない申告は自分か別の税理士で行う人
個人の外注先頼める頼めない頼めない入力作業だけを切り出したい人

代行会社や個人の外注先に頼む場合、申告書を作ってもらうことはできません。申告書の作成は税理士の独占業務だからです。

そのため、記帳を代行会社に、申告を自分か別の税理士に、という2か所に分ける形になります。受け渡しが増えるので、どちらが楽かは一度考えてみてください。

税理士事務所に頼む場合は、記帳の段階から税金の目線で見てもらえるのが大きな違いです。

例えば、家事と事業の両方で使っている車の費用。どこまでを経費にするかは、入力の段階で税理士に確認しながら進められます。

記帳代行と経理代行はどう違う?

似た言葉に「経理代行」があります。記帳代行が帳簿付けに絞ったサービスなのに対して、経理代行は請求書の発行や支払いの管理、給与計算などまで広く含むことが多いです。

ただ、どこまでを含むかは頼み先によって違います。名前で判断せず、見積もりの段階で「何をやってもらえて、何が自分に残るのか」を一覧で出してもらうと安心です。

「記帳だけでなく、請求書の発行もお願いできますか?」

「その場合は別料金になります。範囲を書いた見積もりをお出ししますね」

こんなふうに、頼みたい作業を具体的に伝えるのがコツです。

経理まわりを広く外に出すときの比べ方は、経理を外注するときの税理士事務所と代行会社の違いで詳しく紹介しています。

記帳代行の費用はいくら?安く頼むには

『結局、いくらかかるの?』というのが、やっぱり気になるところですよね。

先にお伝えすると、税理士の報酬には公的な基準がありません。東北税理士会の税理士報酬に関するご案内によると、報酬規定は平成14年3月31日で廃止されています。

国などが公表している税理士報酬の統計も見当たりません。ここでは、民間の税理士情報サイトである税理士ドットコムが示す目安を紹介します。

頼み方税理士ドットコムが示す目安
スポットで記帳代行だけ1仕訳50円から100円
法人の顧問契約に記帳代行を付ける(年間売上5,000万円未満)月額顧問料に5,000円から加算
法人の顧問契約に記帳代行を付ける(年間売上5,000万円から5億円未満)月額顧問料に10,000円から加算
個人の確定申告を記帳代行込みで(白色)10万円から
個人の確定申告を記帳代行込みで(青色・売上1,000万円未満)15万円から

1仕訳あたりの単価で見ると、月の仕訳が多いほど費用は増えます。仕訳数ごとの計算例は記帳代行の相場と仕訳数別の料金にまとめています。

費用を抑えたいときに効くのは、次のような工夫です。

記帳代行を安く頼むためのチェック
  • 事業用の通帳とカードを生活用と分けておく
  • 領収書を月ごとに封筒やファイルに分けて渡す
  • 用途が分かりにくい支出にだけメモを付ける
  • ネットバンクやカードの明細をデータで渡せるか聞いてみる
  • 面談の回数を減らせるか見積もりで比べる

仕訳の数そのものを減らすことは難しくても、資料の整理具合で手間は大きく変わります。整っている資料ほど、見積もりも出しやすくなるんです。

なお、金額はどれも事務所ごとに違います。この目安は「この辺りから始まる」という下限の目安として見ておきましょう。

規模別に見る|顧問契約・スポット・自分で、どれが合う?

記帳代行の頼み方は、事業の大きさと取引の数でかなり変わります。自分の状況に近い行を探してみてください。

状況の例合いやすい頼み方理由
副業で取引が月に数件、売上も小さい自分で記帳、申告だけスポット入力の量が少なく、自分でも追いつきやすい
個人事業で売上800万円、取引が月100件ほど記帳込みの確定申告をスポット、または顧問契約年1回まとめて頼むか、毎月任せるかで選べる
個人事業で売上が伸び、従業員も雇い始めた記帳代行付きの顧問契約源泉所得税や年末調整の作業が加わる
法人で年商3,000万円、経理担当がいない記帳代行付きの顧問契約決算と法人税の申告まで一続きで任せられる

例えば、年商2,000万円の飲食店を個人で営むケースを考えてみます。

現金売上が毎日あり、食材の仕入れも細かく発生します。仕訳の数が多くなりやすいので、年に1回まとめて入力するより、毎月少しずつ任せる方が決算期に慌てずに済みます。

もう1つ、年商5,000万円の小さな建設会社を法人で営むケースです。

外注先への支払い、資材の仕入れ、従業員の給与と取引の種類が多くなります。従業員に給与を払うと、源泉所得税を原則として支払った月の翌月10日までに納める必要があります(国税庁 No.2505)。

給与の支給人員が常時10人未満なら、納期の特例で年2回にまとめる方法もあります。こうした期限の管理まで含めて任せられるのは、顧問契約の強みです。

『うちは小さいから、顧問契約なんてまだ早いかな…』と迷う方もいますよね。

その場合は、まず記帳込みの確定申告をスポットで頼んでみる方法もあります。個人の丸投げの費用感は個人事業主が税理士に丸投げする費用で紹介しています。

記帳が月末にたまってしまう、売上が伸びて申告が不安になってきた。そんな状況なら、記帳から申告まで任せられる顧問税理士を探すと、毎月の作業がぐっと軽くなります。

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記帳代行を頼む流れと、渡す資料

初めて頼むときは、だいたい次の流れで進みます。

記帳代行を頼むまでの流れ
  1. 事業の内容と、取引のおおよその量を書き出しておく
  2. 税理士事務所や代行会社に相談し、頼みたい範囲を伝える
  3. 見積もりを受け取り、記帳の範囲と申告の有無を確かめる
  4. 契約後、資料の渡し方と締め日を決める
  5. 毎月または決められた時期に資料を渡し、入力結果を確認する
記帳代行を頼む流れを、相談・見積もり・資料の受け渡しの順で示した図解

相談のときに聞かれやすいのは、売上の規模、月の取引の数、使っている会計ソフト、従業員の有無です。手元にメモがあるだけで、見積もりがぶれにくくなります。

渡す資料は、事業によって違いますが、よくあるのは次のものです。

  • 事業用の通帳のコピーやネットバンクの明細
  • クレジットカードの利用明細
  • 売上の請求書の控えやレジの集計
  • 仕入れや経費の領収書・レシート
  • 給与を払っている場合は給与の明細

ここで気をつけたいのが、インボイス制度です。令和5年10月1日から始まり、仕入税額控除のために請求書の保存が関わってきます(国税庁 No.6498)。

課税事業者の方は、受け取った請求書を捨てずに、そのまま渡せるようにしておきましょう。どの請求書が対象かの判断は、税理士に確認するのが安心です。

また、帳簿の扱いは税務調査でも見られます。国税庁のNo.2024では、帳簿を提示しないなどの場合に無申告加算税が加重される扱いが示されています。

税理士との最初のやり取りは、こんなイメージです。

「月にどれくらいの取引がありますか?」

「通帳とカードを合わせて、100件くらいだと思います」

この程度のおおまかな数で十分です。分からない所は、分からないと伝えてしまって大丈夫ですよ。

顧問税理士の探し方そのものは、税理士の探し方で手順を紹介しています。

よくある質問

記帳代行は税理士でなくても頼めますか?

帳簿の入力作業そのものは、税理士の独占業務である税務代理・税務書類の作成・税務相談には挙がっていないため、代行会社などにも頼めます。ただし申告書の作成や具体的な税金の相談は、税理士などでなければ無償でも行えません。

記帳代行の費用はいくらからですか?

公的な基準はなく、事務所ごとに違います。税理士ドットコムが示す目安では、スポットの記帳代行は1仕訳50円から100円、法人の顧問契約に付ける場合は月額5,000円からの加算です。

記帳代行を頼んでも自分でやることはありますか?

あります。領収書や通帳の明細を集めて渡すこと、用途が分かりにくい支出にメモを付けることは依頼する側の作業です。入力結果の確認と、申告内容の最終判断も自分で行います。

記帳代行だけ頼んで、確定申告は自分でできますか?

できます。代行会社に記帳を頼み、出来上がった帳簿をもとに自分で申告する形です。申告の内容に不安がある場合は、記帳から申告まで税理士にまとめて頼む方法も検討してみてください。

年の途中からでも記帳代行は頼めますか?

一般的には相談できます。その年の1月からの資料をまとめて渡し、さかのぼって入力してもらう形になることが多いので、早めに相談しておくと申告期限に余裕を持てます。

まとめ

この記事の要点
  • 記帳代行は、資料を渡して仕訳の入力や帳簿の作成を任せるサービス
  • 入力だけなら代行会社にも頼めるが、申告書の作成と税金の相談は税理士の仕事
  • 資料集めとメモ付けは、どこに頼んでも依頼する側に残る
  • 費用に公的な基準はなく、民間の目安ではスポット1仕訳50円から100円
  • 取引が多い、従業員がいる、法人化したなら記帳代行付きの顧問契約が合いやすい
顧問税理士の選び方ナビ

顧問税理士の選び方ナビ 編集部

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