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売上が伸びてきて、まわりから『そろそろ法人にしたら?』と言われることが増えていませんか。とはいえ、本当に得になるのか、いつ動けばいいのか、自分ひとりで決めるのは難しいですよね。
結論から言うと、法人成りは「税金だけ」で決めるものではありません。社会保険や事務の手間、取引先の事情まで含めて、税理士と試算してから決めるのが安心です。
この記事では、法人化を顧問税理士に相談するタイミングと、手続きの流れ、税理士の選び方が分かります。
法人成りに税理士は必要?
法人成りそのものは自分でもできますが、法人化した方が得かの試算、役員報酬の決め方、個人の廃業と法人の届出、毎年の決算は税理士に頼む人が多いです。法人にすると決算と申告の手間が増えるので、法人化を考え始めた段階で相談するのがおすすめです。
法人成りとは、個人事業主が会社を作り、事業をその会社に移すことです。個人の時は所得税の確定申告でしたが、会社にすると法人税の申告と決算が毎年必要になります。
法人税の確定申告の期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です(国税庁 主な国税の納期限)。
個人と法人で何が変わるのかを並べると、次のとおりです。
| 項目 | 個人事業主のまま | 法人成りした後 |
|---|---|---|
| 税金のかかり方 | 事業の利益に所得税・住民税 | 会社の利益に法人税、自分の役員報酬に所得税 |
| 自分への支払い | 利益がそのまま自分の所得 | 役員報酬として決めた額を受け取る |
| 社会保険 | 国民健康保険・国民年金 | 会社として健康保険・厚生年金に加入 |
| 毎年の申告 | 確定申告(翌年3月15日まで) | 決算と法人税の申告(事業年度終了から2か月以内) |
| 事務の手間 | 比較的少ない | 給与計算・源泉徴収・年末調整が加わる |
『社会保険料が上がるなら、結局損なんじゃない?』という心配もありますよね。
そこを数字で確かめるのが、税理士との試算です。税金と社会保険料、役員報酬のバランスで、手元に残るお金は変わります。
法人化を顧問税理士に相談する時期は?
実は、法人化を相談するベストなタイミングは「法人にすると決める前」です。会社を作ってからでは、決算月や役員報酬を決め直すのが大変だからです。
次のような状況になったら、一度相談してみてください。
- 利益が増えて、所得税の負担が重くなってきた
- 取引先から、法人でないと契約しにくいと言われた
- 従業員を雇う、または人数を増やす予定がある
- 融資を受けて事業を広げたい
- インボイス登録で課税事業者になり、消費税の負担を見直したい
インボイス登録で免税事業者から課税事業者になった人は、令和5年10月1日から令和8年9月30日の日の属する課税期間まで、納付税額を売上税額の2割にできる特例があります(国税庁 タックスアンサー No.6498)。法人成りすると消費税の扱いも変わるので、時期を合わせて相談しておくと安心です。
具体例で見ると
例1: 年商3,000万円のデザイン事務所を個人で営み、外注先も増えてきたケース
利益が増えて税金の負担が気になる段階です。役員報酬をいくらにすると税金と社会保険料の合計がどうなるか、税理士に複数のパターンで試算してもらうと判断しやすくなります。
例2: 年商800万円のフリーランスが、大手の取引先から法人での契約を求められたケース
税金の面だけ見ると、法人にするメリットが小さいこともあります。それでも取引のために法人にするなら、決算の費用まで含めた年間のコストを先に確かめておきましょう。
「法人にすると税金が安くなるって聞いたんですけど」
「利益の額によって変わるので、まず去年の数字で試算してみましょうか」
こんなふうに、自分の数字で話を進められる税理士だと安心です。
法人成りの手続きと税務で気をつけること
『会社を作れば終わりでしょ?』と思われがちですが、法人成りの手続きは、個人事業を終える手続きと会社を始める手続きがセットになります。
- 税理士と、法人にするかどうかと時期を試算する
- 決算月・資本金・役員報酬を決める
- 司法書士に頼んで会社を設立する
- 法人設立届出書と青色申告の承認申請を税務署に出す
- 個人事業の廃業届を出し、最後の確定申告をする
法人設立届出書は、法人設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に出します(国税庁 内国普通法人等の設立の届出)。個人事業の開業・廃業等届出書は、事業の廃止等があった年分の確定申告期限までに出す手続きです(国税庁 個人事業の開業・廃業等届出手続)。

ここが大事なところです。個人で持っていた在庫や設備、売掛金を会社に移す時は、売るのか貸すのか、どの金額で移すのかで税金の扱いが変わります。自分で決めずに、税理士と一緒に進めましょう。
倒産防止共済など、個人で入っていた契約はどうなる?
個人事業主の時に経営セーフティ共済(倒産防止共済)に入っている人も多いですよね。掛金は月額5,000円から20万円まで選べ、法人なら損金、個人事業主なら必要経費に算入できます(中小企業基盤整備機構 経営セーフティ共済)。
法人成りした時に、この契約を会社に引き継ぐか、解約するかで税金の扱いが変わります。引き継げるかどうかには条件があるので、中小企業基盤整備機構の案内と、税理士の両方に確認してから手続きしてみてください。
法人化に強い税理士の選び方
法人成りの相談は、今の税理士にするか、新しく探すかで迷う人もいます。個人の確定申告だけを頼んでいた税理士が、法人の決算も得意とは限りません。
- 法人化した方が得かを、自分の数字で試算してくれるか
- 役員報酬と社会保険料を合わせて考えてくれるか
- 個人の最後の確定申告と、法人の最初の決算を両方見てくれるか
- 自分の業種の法人を担当した経験があるか
- 法人の顧問料と決算料が、最初にはっきり示されるか
税理士の報酬は自由に決められていて、公的な相場はありません。民間の税理士ドットコムが示す目安では、法人の顧問料は年間売上1,000万円未満で毎月訪問25,000円〜、決算料100,000円〜とされています。顧問料の決まり方は 税理士の顧問料相場 にまとめています。
法人化を考え始めたけれど、得になるか自分では判断できない。今の税理士は個人の申告だけで、法人のことは相談しにくい。そんな状況なら、法人成りの試算から設立後の顧問まで頼める税理士を探すと、事業に集中できます。
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会社設立の流れは 会社設立の税理士の選び方 で、飲食店の場合の考え方は 飲食店の法人化の目安 で紹介しています。
よくある質問
法人成りの税理士は、今の個人の税理士に頼むべきですか?
今の税理士が法人の決算にも慣れているなら、事業の中身を知っているので話が早いです。法人の経験が少ない場合は、法人成りを機に別の税理士を探すのも一つの方法です。
法人化のタイミングは、売上いくらが目安ですか?
売上だけでは決まらず、利益の額や社会保険料、取引先の事情で変わります。去年の数字を持って、税理士に試算してもらうのが近道です。
法人成りした後も、個人の確定申告は必要ですか?
法人成りした年は、個人事業として営んだ期間の確定申告が必要です。法人から役員報酬を受け取る場合の扱いも含めて、税理士に確認しておきましょう。
まとめ
- 法人成りは税金だけでなく、社会保険や事務の手間まで含めて判断する
- 法人化を相談するベストなタイミングは、法人にすると決める前
- 法人設立届出書は設立の日以後2か月以内、個人の廃業届は確定申告期限まで
- 倒産防止共済など個人の契約は、引き継ぐか解約するかで扱いが変わる
- 法人の決算に慣れた税理士を選び、顧問料と決算料を最初に確認する




