当サイトは国税庁・日本税理士会連合会などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
長くお世話になってきた顧問税理士から、引退すると告げられた。後継の事務所を紹介されたけれど、そのまま任せていいのか迷っている。そんな方も多いはずです。
結論から言うと、紹介された事務所に引き継ぐのも、自分で選び直すのも、どちらもありです。この記事では、その判断の目安と、引退の前に済ませておきたいことをお伝えします。
顧問税理士が引退する時はどうなる?
税理士が業務をやめると、日本税理士会連合会の登録が抹消され、その税理士には申告を頼めなくなります。引退が決まったら、紹介された後継の事務所と面談して比べ、合わなければ自分で次を探しましょう。どちらの場合も、引退の前に申告書や決算書の控え、会計データを受け取っておくことが大事です。
『先生が辞めるなら、後継の事務所に任せるしかないのでは?』と思いますよね。
実は、後継の事務所に移るかどうかは、依頼している側が決めていいんです。顧問契約は、あなたの会社やお店と事務所の間の契約だからです。
税理士法では、税理士がその業務を廃止した時、日本税理士会連合会は登録を抹消しなければならないとされています(税理士法第26条)。
つまり、引退した後に「やっぱり今年の申告だけお願いしたい」とは頼めません。時間があるうちに動き始めておきましょう。
個人の事務所か、税理士法人かで変わる
今の税理士が個人の事務所か、税理士法人かでも状況は変わります。
税理士法人なら、引退するのは所属する税理士の一人で、法人としての契約は続くこともあります。個人の事務所なら、事務所そのものが閉じるか、別の事務所に引き継がれる形が多くなります。
まずは「契約の相手がどこになるのか」を確認してみてください。
後継の事務所に任せる?自分で選び直す?
『長い付き合いだから、断りにくい…』と感じる方もいますよね。ただ、これからの申告を任せる相手を選ぶ話なので、遠慮しすぎなくて大丈夫です。
ここが大事なところです。紹介された事務所が合うかどうかは、会ってみないと分かりません。判断の目安を表にしておきますね。
| 比べたい点 | 後継の事務所に任せる | 自分で選び直す |
|---|---|---|
| 引き継ぎの手間 | 資料のやりとりが少なく済みやすい | 資料を集めて渡す手間がかかる |
| これまでの経緯 | 前の税理士から直接聞いてもらえる | 自分で説明する場面が増える |
| 顧問料 | 前と同じとは限らない | 条件を比べて選べる |
| 相談のしやすさ | 担当の方との相性しだい | 相性を見て決められる |
| 得意な分野 | 自分の業種に詳しいとは限らない | 業種や規模に合う所を探せる |

例えば、年商2,000万円の飲食店を個人で営むケース。記帳から申告まで任せていて、経緯を説明し直すのが大変なら、まず後継の事務所の話を聞くのが近道です。
一方で、法人化を考えている、融資の相談もしたいという時は、その相談に強い事務所を自分で探すほうが合うこともあります。
面談では、こんなふうに聞いてみてください。
「顧問料と、毎月の面談やメールのやりとりは今と同じ形になりますか?」
「うちと同じくらいの規模のお客さんは担当されていますか?」
後継の税理士が登録されているかは、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で確かめられます。
引退の時期はいつ聞けばいい?
引退を告げられたら、最後に担当してもらえる申告がどれかを最初に確認しておきましょう。
例えば、個人事業主の確定申告は原則として翌年3月15日が期限です。法人なら事業年度が終わった翌日から2か月以内が申告の期限になります。
「今年の確定申告までは見ていただけますか?」と聞いておけば、次の税理士に切り替える時期の目安が立ちます。
引退の前に済ませておきたいこと
『先生が元気なうちは、まだ大丈夫かな』と後回しにしがちですよね。ただ、引退の時期は申告の時期と重なることも。早めに次のことを済ませておきましょう。
- 過去の申告書・決算書の控えを受け取る
- 会計ソフトのデータや仕訳データの受け取り方を決める
- 税務署に出した届出書の控えを受け取る
- e-TaxやeLTAXの利用者識別番号と暗証番号を確認する
- 次の申告の期限と、誰が担当するかを決める
新しい税理士が税務代理をする時は、税務代理権限証書を税務署に出します(税理士法第30条)。これは新しい税理士がやってくれる手続きです。
e-TaxやeLTAXの切り替えは税理士変更の手続き、会計データの受け取り方は税理士変更時の会計データの引き継ぎで解説しています。
紹介された事務所が合うか分からない、次の申告までに比べて決めたい。こんな状況なら、引き継ぎの相談から乗ってくれる顧問税理士を探しておくと、慌てずに次へ進めます。
税理士ドットコム
あなたの業種・規模に合う顧問税理士を無料で紹介
記帳や申告に手が回らない、法人化を考えている、今の税理士の対応に不満があるといった場合は、条件に合う顧問税理士を紹介してもらうのが近道です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から、予算や業種に合う税理士を無料で紹介してもらえます。
紹介料無料税理士ドットコムで顧問税理士を紹介してもらう(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)
よくある質問
後継の事務所を断っても失礼になりませんか?
契約を続けるかは依頼する側が決めることです。紹介のお礼を伝えたうえで「別の事務所にお願いすることにしました」と伝えれば大丈夫です。
引退前に急に連絡が取れなくなったらどうすればいいですか?
事務所の職員の方や、事務所のある地域の税理士会に問い合わせてみてください。申告の期限が近い時は、手元の資料で次の税理士に早めに相談しておきましょう。
引退ではなく、税理士が亡くなった場合はどうなりますか?
死亡した時も登録は抹消されます。申告の期限が迫っている場合の動き方は、別の記事でくわしく解説しています。
まとめ
- 税理士が業務をやめると登録が抹消され、その税理士には頼めなくなる
- 後継の事務所に移るか、自分で選び直すかは依頼する側が決めていい
- 紹介された事務所とは面談して、顧問料や相談のしやすさを比べる
- 引退の前に、申告書の控えや会計データ、e-Taxの番号を受け取っておく




