当サイトは国税庁・日本税理士会連合会などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
依頼が増えて収入が安定してくると、『法人にしたら、今まで描いた作品の権利はどうなるの?』と気になりますよね。
結論から言うと、イラストレーターの法人化は、税金の差に加えて「作品の権利と収入の受け取り口をどこに置くか」まで決めてから進めるのが安心です。
この記事では、イラストレーターならではの法人化の目安と、著作権の置き場所で税金がどう変わるかが分かります。
イラストレーターが法人化する目安は?
目安は、画材や機材の経費が少なく利益が増えて、所得税の税率が上がってきた時です。法人化すると、取引先から源泉徴収されなくなる、作品の使用料を会社と個人のどちらで受け取るかを決める必要がある、という変化があります。作品の権利をどちらに置くかを決めてから、税理士と手取りを試算しましょう。
イラストの仕事は仕入れが少ないので、売上の多くが利益になります。
国税庁の所得税の税率によると、所得税は5%から45%の7段階です。法人税の税率は、資本金1億円以下の法人なら年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%です。
『この差なら法人が得だよね』と感じる方も多いはずです。
ただ、会社のお金を受け取るには役員報酬を払う形になり、そこにも所得税や社会保険料がかかります。税率の差がそのまま手取りの差になるわけではないんです。
法人化すると源泉徴収はどう変わる?
個人のイラストレーターが企業から報酬を受け取ると、源泉徴収された金額が振り込まれますよね。
国税庁の質疑応答事例では、広告ポスターのイラストへの報酬は「デザインの報酬」に当たり、源泉徴収が必要とされています。源泉徴収のあらましでも、書籍や雑誌などの挿絵の報酬が対象に挙げられています。
税額は、国税庁の原稿料や講演料等を支払ったときと同じ計算で、支払金額100万円以下の部分は10.21%、100万円を超える部分は20.42%です。
一方、国税庁の源泉徴収が必要な報酬・料金等とはでは、内国法人に支払う報酬で源泉徴収の対象になるものは、馬主への競馬の賞金とされています。
| 受け取る人 | イラストの報酬 | 入金の変化 |
|---|---|---|
| 個人のイラストレーター | 源泉徴収の対象 | 源泉徴収された額が入金され、確定申告で精算 |
| イラストレーターの会社 | 源泉徴収の対象外 | 請求額がそのまま入金される |
『入金が増えるなら、それだけで得じゃない?』と思いますよね。
実は、源泉徴収は税金の前払いなので、税金そのものが減るわけではありません。入金のタイミングが変わる、というのが正しい見方です。取引先にも、請求書の宛名や源泉徴収の扱いが変わることを伝えておきましょう。
作品の著作権は個人と会社のどちらに置く?
ここがイラストレーターの法人化で一番悩むところです。
すでに描いた作品の権利は、法人化しても自動で会社に移るわけではありません。会社に移すのか、個人に残すのか、契約書で決めておくのが一般的です。権利の帰属そのものは法律の話なので、判断に迷う時は弁護士などの専門家にも相談してみてください。
税金の面では、置き場所で次のように変わります。
| 権利の置き場所 | お金の流れの例 | 税金で気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 個人に残す | 会社が作品を使い、個人に使用料を払う | 著作物の利用の対価は源泉徴収の対象になる。個人の所得として申告 |
| 会社に移す | 個人から会社へ権利を譲る | 譲る価格の決め方や、個人側の所得の扱いを税理士に確認 |
| 法人化の後に描く作品 | 会社として依頼を受けて制作する | 会社と本人の間で、権利の扱いを契約で決めておく |
源泉徴収のあらましでは、著作物の複製や展示などの利用の対価、書籍の印税は「著作権の使用料」として源泉徴収の対象とされています。
例えば、画集の印税を個人名義の出版契約で受け取っているケースです。契約を個人のまま残すなら、印税は個人の所得として申告を続けることになります。
「グッズの売上は会社に入れたいけど、昔の作品の権利はどうしましょう?」
「作品ごとに、どちらに置くかを一覧にしてから決めましょう」
税理士との相談は、こんな整理から始まることが多いです。

法人化を進める時の流れ
- 税理士と、個人と法人の手取りを試算する
- 作品の権利を個人と会社のどちらに置くかを決める
- 会社を設立し、法人の銀行口座を作る
- 取引先・出版社・販売サイトに名義の変更を伝える
- 個人と会社の間で、作品の使用や権利の契約を結ぶ
- 個人事業の最後の確定申告をする
会社設立の手続きと顧問契約までの流れは会社設立の税理士の選び方と顧問契約まで頼む流れで詳しく書いています。
法人化を税理士に頼むと費用はいくら?
税理士の報酬は自由化されていて、公的な基準はありません。税理士ドットコムが示す目安は次のとおりです。
| 依頼の内容 | 費用の目安(税理士ドットコムの公表値) |
|---|---|
| 個人事業主の顧問(売上1,000万円未満・6か月に一度) | 月10,000円から+確定申告料80,000円から |
| 法人の顧問(年間売上1,000万円未満・毎月) | 月25,000円から+決算料100,000円から |
| 法人の顧問(年間売上1,000万円未満・6か月に一度) | 月15,000円から+決算料100,000円から |
| 法人の決算申告のみ | 15万〜25万円 |
作品の権利を個人に残す場合は、法人化した後も個人の確定申告が続くことがあります。会社と個人の両方を見てもらえるかも、見積もりの時に確認しておきましょう。顧問料の決まり方は税理士の顧問料相場で詳しく書いています。
依頼が増えて税金が気になってきた、印税やグッズの売上が増えた、作品の権利をどう分けるか決められない。こんな状況なら、クリエイターの取引に慣れた顧問税理士を探しておくと、会社と個人の両方をまとめて相談できて楽になります。
税理士ドットコム
あなたの業種・規模に合う顧問税理士を無料で紹介
記帳や申告に手が回らない、法人化を考えている、今の税理士の対応に不満があるといった場合は、条件に合う顧問税理士を紹介してもらうのが近道です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から、予算や業種に合う税理士を無料で紹介してもらえます。
紹介料無料税理士ドットコムで顧問税理士を紹介してもらう(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)
デザインの仕事が中心の方はデザイナーの法人化の目安、写真の仕事もしている方はカメラマンの法人化の目安もあわせて読んでみてください。
よくある質問
イラストレーターは年収いくらで法人化すべきですか?
一律の基準はありません。利益の大きさ、社会保険料、作品の権利をどちらに置くかで手取りが変わるので、税理士に試算してもらいましょう。
法人化すると今までの作品の著作権は会社のものになりますか?
自動で会社に移るわけではありません。個人に残すか会社に移すかを契約で決めておくのが一般的です。法律面の判断は弁護士などにも確認してください。
法人化すると取引先からの源泉徴収はなくなりますか?
国税庁によると、内国法人に支払う報酬で源泉徴収が必要なのは馬主への競馬の賞金とされています。会社で受け取るイラストの報酬は、源泉徴収されずに入金されるのが基本です。
まとめ
- イラストレーターは仕入れが少なく、利益が増えると所得税の税率が上がりやすい
- 個人への挿絵やデザインの報酬は源泉徴収の対象、会社への報酬は対象外
- 作品の権利は自動では会社に移らない。置き場所で税金の扱いが変わる
- 権利を個人に残すなら、法人化後も個人の申告が続くことがある




