所得800万円の個人事業主は法人成りすべき?税理士の試算の見方

所得800万円の個人事業主が法人成りを考える時に、税理士の試算の見方を解説する記事のアイキャッチ

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個人事業の所得が800万円くらいになって、『所得800万を超えたら法人成りが得』という話が気になっている方も多いはずです。

結論から言うと、所得800万円は法人成りを考え始める一つのきっかけにはなりますが、それだけで得かどうかは決まりません。役員報酬、社会保険料、会社の維持費まで入れた試算で判断するのが大事です。

この記事では、所得800万円の個人事業主が、税理士の法人成りの試算をどう見ればよいかが分かります。

所得800万円なら法人成りしたほうが得?

先に結論

所得800万円で法人成りが得になるかは、人によって変わります。公的な基準額はありません。所得税と法人税の税率だけで比べず、役員報酬をいくらにするか、社会保険料と会社の維持費がいくらかかるかまで入れた手取りの試算を、税理士に作ってもらうのが判断の近道です。

まず、「所得800万円」がどの数字かを確かめておきましょう。

ここでいう所得は、売上から経費を引いた事業所得のことです。そこからさらに各種の控除を引いたものが、所得税の計算に使う「課税される所得金額」になります。

『800万円って、どの数字の話?』と迷う方も多いんです。試算を頼む時は、売上、事業所得、課税される所得金額の3つを分けて見ておくと話が早くなります。

なぜ800万円が話題になるのか

国税庁の説明では、資本金1億円以下などの中小法人の法人税率は、所得のうち年800万円以下の部分が15%、800万円を超える部分が23.2%です(国税庁 No.5759 法人税の税率)。

一方で、所得税は所得が増えるほど税率が上がります。国税庁の速算表では、課税される所得金額が330万円から694万9千円までは20%、695万円から899万9千円までは23%、900万円から1,799万9千円までは33%です(国税庁 No.2260 所得税の税率)。

この税率の差があるので、「800万円」が目安として語られやすいんです。

税率だけで比べてはいけない理由

ここが法人成りの試算で大事なところです。

会社にすると、事業のもうけは会社のものになります。自分が使うお金は、会社から役員報酬として受け取る形になりますよね。

役員報酬には所得税がかかり、会社と本人の両方で社会保険料もかかります。つまり、法人成りすると税金は会社と個人に分かれてかかるので、法人税率だけを見ても損得は分からないんです。

例えば、課税される所得金額が700万円なら、所得税は700万円に23%をかけて636,000円を引いた974,000円です。これに住民税と事業税、復興特別所得税が加わります。

この金額と比べるのは、会社の法人税だけではありません。役員報酬にかかる所得税と住民税、社会保険料、会社の維持費を全部足した金額です。

比べる項目個人のまま法人成りした場合
事業のもうけにかかる税金所得税、住民税、事業税法人税、法人住民税、法人事業税
自分の受け取るお金にかかる税金なし(事業所得に含まれる)役員報酬に所得税と住民税
社会保険国民健康保険と国民年金健康保険と厚生年金(会社と本人で負担)
利益がなくてもかかるお金特になし法人住民税の均等割、税理士の費用など
消費税基準期間の売上で判定設立から原則2期は免除の場合あり

社会保険と会社の維持費

日本年金機構の説明では、株式会社などの法人の事業所は、事業主のみの場合も含めて厚生年金保険の適用事業所です(日本年金機構 適用事業所と被保険者)。1人社長でも、役員報酬を払えば社会保険に入ります。

東京都主税局の説明では、法人住民税の均等割は、利益がなくてもかかります(東京都主税局 法人事業税・法人住民税)。会社の決算と申告を税理士に頼む費用も、毎年の維持費として見込んでおきましょう。

法人成りの試算で税率のほかに入れる役員報酬、社会保険料、会社の維持費の3点を示した図解

税理士の試算はここを見る

税理士に試算を頼むと、個人のままと法人成りした場合の手取りを並べた表が出てくることが多いですよね。『数字が多すぎて、どこを見ればいいか分からない』という声もよく聞きます。

その表を見る時に、確かめておきたい所があります。

試算の表で確かめたいこと
  • 役員報酬を1つの金額だけでなく、いくつかの金額で比べているか
  • 社会保険料の会社負担と本人負担が両方入っているか
  • 法人住民税の均等割と、税理士の費用が維持費として入っているか
  • 消費税の扱いが、設立後の何期目まで入っているか
  • 来年以降の売上の見込みが、今の契約状況に合っているか

役員報酬は期の初めに決める

国税庁の説明では、毎月同じ額を払う定期同額給与などの役員給与は、法人の経費(損金)になります。金額を変えるのは、原則として事業年度の開始から3か月を経過する日までです(国税庁 No.5211 役員に対する給与)。

試算どおりに進めるには、期の初めにその年の見込みから役員報酬を決めることになります。売上がぶれやすい仕事なら、低めと高めの両方で手取りを見ておくと安心です。

消費税の判定も変わる

国税庁のタックスアンサーでは、新しく作った会社は1期目と2期目に基準期間がないので、原則として消費税の納税義務が免除されます。ただし、資本金1,000万円以上の会社や、インボイスの登録をしている会社は免除されません(国税庁 No.6501 納税義務の免除)。

取引先がインボイスを求める仕事なら、法人成りしても消費税の申告は続くことになります。試算にどう入っているかを聞いてみてください。

試算を頼む税理士の選び方と費用

法人成りの試算は、会社を作った後の顧問契約の相談と一緒に頼むことが多いです。会社を作る流れは会社設立の税理士の選び方と流れ、費用の目安は法人化の税理士費用の相場にまとめています。

税理士ドットコムが示す目安では、売上1,000万円から3,000万円未満の個人事業主の顧問料は毎月訪問で25,000円から、同じ規模の法人は30,000円から、法人の決算料は120,000円からとされています。法人成りすると税理士の費用が上がることも、試算に入れておきましょう。

税理士にはこんな風に頼むと話が早いです。

「所得が800万円くらいなので、役員報酬を3パターンくらい置いて、個人のままと手取りを比べてもらえますか」

「社会保険料と、会社の維持費も入れた数字で見たいです」

所得が増えて税金の負担が気になる、試算の表を見ても判断がつかない、法人成りした後の申告まで任せたい。こんな状況なら、法人成りの相談に慣れた顧問税理士を探しておくと、試算から設立後の申告までまとめて相談できます。

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記帳や申告に手が回らない、法人化を考えている、今の税理士の対応に不満があるといった場合は、条件に合う顧問税理士を紹介してもらうのが近道です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から、予算や業種に合う税理士を無料で紹介してもらえます。

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よくある質問

所得800万円を超えたら法人成りしたほうが得ですか?

公的な基準はなく、人によって変わります。役員報酬、社会保険料、会社の維持費まで入れた手取りの試算で比べてみてください。

「所得800万円」は売上のことですか?

一般的には、売上から経費を引いた事業所得を指すことが多いです。所得税の税率は、さらに控除を引いた課税される所得金額で決まるので、試算では数字を分けて確認しておきましょう。

法人成りの試算は無料で頼めますか?

税理士によって違います。顧問契約を前提に試算をしてくれる事務所もあるので、依頼する前に費用の有無を確認してみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 所得800万円は法人成りを考えるきっかけで、それだけで得かは決まらない
  • 法人税率と所得税率の差だけでなく、役員報酬と社会保険料を入れて比べる
  • 均等割や税理士の費用など、利益がなくてもかかる維持費も見込む
  • 試算の表は、役員報酬のパターンと消費税の扱いを確かめて読む
顧問税理士の選び方ナビ

顧問税理士の選び方ナビ 編集部

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