M&Aに強い税理士の選び方と買収の税務で顧問に頼めること

M&Aに強い税理士の選び方と買収の税務で顧問税理士に頼めることを解説する記事のアイキャッチ

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会社を売る話や、他社を買う話が持ち上がった。でも、税金のことは誰にどこまで聞けばいいのか分からない。そんな経営者の方も多いはずです。

結論から言うと、M&Aの税務は、条件が固まる前の早い段階から税理士に入ってもらうのが安心です。今の顧問税理士で足りない部分だけ、M&Aに強い税理士に頼む形も選べます。

この記事では、売る側と買う側それぞれで税理士に頼めることと、選び方のコツが分かります。

M&Aで税理士には何を頼める?

先に結論

M&Aで税理士に頼めるのは、売り方による税金の違いの試算、買う会社の税務リスクの調査(税務デューデリジェンス)、組織再編の税務の確認、取引後の申告です。どの方法で売買するかで税金が大きく変わるので、契約の形を決める前に相談しておきましょう。

M&Aというと、仲介会社や弁護士の仕事というイメージがありますよね。

ただ、売り方を選ぶ段階から、税金の計算は深く関わってきます。税務代理、税務書類の作成、税務相談は税理士の業務なので、税金の判断は税理士に確認したいところです。

売る側と買う側で、頼むことは変わります。

立場主に頼むこと早めに相談したい理由
会社を売る側売り方ごとの税金の試算、売却後の申告手取り額が売り方で変わるため
会社を買う側税務デューデリジェンス、買収後の税務の整理過去の申告の問題を引き継ぐおそれがあるため
グループ内の再編合併や分割の税務の確認要件によって課税の扱いが変わるため

『とりあえず仲介会社に任せれば大丈夫かな』と思うかもしれません。でも、仲介会社は税務の判断をする立場ではないので、税理士にも話を通しておくと安心です。

M&Aで税理士に頼めることを、売る側の税金の試算、買う側の税務調査、取引後の申告に分けて示した図解

株式譲渡と事業譲渡で税金はどう変わる?

実は、同じ会社を売る話でも、「株を売る」のか「事業を売る」のかで税金のかかり方がまったく変わります。

一般的な違いを表にまとめました。

比べるところ株式譲渡事業譲渡
何を売るか株主が持つ会社の株会社が持つ事業や資産
誰に税金がかかるか株を売った株主事業を売った会社
買う側が引き継ぐもの会社をまるごと(過去の税務も含む)契約で選んだ資産や取引
消費税株の売買そのものは原則として対象外資産の中身によってかかる場合がある

どちらが有利かは、会社の財産の中身や、売った後のお金を誰が受け取りたいかで変わります。

例えばこんな相談になることがあります。

「株を売るのと事業だけ売るのでは、手元に残るお金はどれくらい違いますか」

「会社の資産の中身で変わるので、両方の方法で試算してから決めましょう」

個別の判断は、こうした試算をもとに税理士に確認してください。

不動産を持つ会社のM&Aで気をつけること

会社が土地や建物を持っている場合は、税務の確認がさらに大事になります。

事業譲渡で不動産を移すと、税金だけでなく登記などの手続きも関わってきます。株式譲渡なら会社ごと引き継ぐので、不動産の名義は会社のままです。

不動産の評価や、売った後の税金の扱いは、不動産の税務に慣れた税理士に確認しておきましょう。

買う側が頼む税務デューデリジェンスとは?

税務デューデリジェンスは、買う会社の過去の申告に問題がないかを調べることです。

株を買って会社をまるごと引き継ぐと、過去の申告漏れも一緒に引き継ぐことになります。買った後に税務調査で追徴されると、買収の計算が狂ってしまうんです。

税理士は、過去の申告書や帳簿を見て、次のような点を確かめます。

税務デューデリジェンスで見ることの例
  • 過去の法人税・消費税の申告に漏れや誤りがないか
  • 源泉所得税をきちんと納めているか
  • 役員への給与や取引先との取引に、税務上の問題がないか
  • 過去の税務調査で何を指摘されたか

『そこまで調べるのは大げさでは』と感じますよね。ただ、買う会社の規模が小さくても、引き継ぐリスクは同じように残ります。

例えば、年商1億円ほどの同業の会社を株で買い取るケースです。この場合、売り手の顧問税理士が作った申告書を、買い手側の税理士が別の目で確認しておくと安心です。

公認会計士とはどう役割を分ける?

M&Aでは、公認会計士が関わることもあります。

一般的に、会社の財務の数字を調べたり企業価値を算定したりするのは会計士が担当することが多く、税金の判断や申告は税理士の業務です。大きな取引では、両方が組んで進めることもあります。

国境をまたぐM&Aでは、国際税務に詳しい税理士が必要になります。海外の会社が関わるなら、最初の相談の時にその経験があるかを聞いておきましょう。

売る側は税理士と何を準備しておく?

売る側にとっても、税理士との準備は大事です。

買い手は、こちらの過去の申告や帳簿をくわしく調べてきます。そこで問題が見つかると、売却の価格が下がったり、話そのものが止まったりすることもあるんです。

『まだ買い手も決まっていないのに、準備なんて早いかな』と思いますよね。ただ、調べられる前に自分で直せることは、先に直しておく方が交渉は進めやすくなります。

売る前に顧問税理士と確認しておきたいことの例です。

  • 過去の申告書と帳簿が、すぐに出せる状態でそろっているか
  • 会社と社長個人のお金の出し入れが、はっきり分かれているか
  • 申告の誤りに気づいているなら、早めに修正を相談しているか

税務調査の事前通知の前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。直すべきものがあるなら、税理士と相談して早めに手を打っておきましょう。

M&Aに強い税理士はどう選ぶ?

M&Aの税務は、普段の記帳や決算とは求められる経験が違います。

今の顧問税理士が会社の数字をよく知っているのは心強いです。ただ、M&Aの経験が少なければ、取引の部分だけ別の税理士に頼み、顧問は今の税理士に続けてもらう形も選べます。

M&Aの税理士を選ぶ流れ
  1. 売る側か買う側か、どんな方法の取引を考えているかを整理する
  2. 今の顧問税理士に、M&Aの税務の経験と対応できる範囲を聞く
  3. 足りない部分があれば、M&Aや組織再編の経験がある税理士と面談する
  4. 取引の部分の報酬と、その後の顧問料を分けて見積もってもらう
  5. 今の顧問税理士と役割を分け、資料の共有方法を決める

面談では、「これまで何件くらいM&Aの税務に関わったか」「株式譲渡と事業譲渡の両方で試算を出してもらえるか」を聞いてみてください。

報酬は事務所ごとに自由に決められているので、見積もりを比べてから決めるのがおすすめです。

親族や社員への承継と迷っている場合は、事業承継の税理士の選び方もあわせて読んでみてください。会社をたたむ方向も考えているなら、会社解散と清算の税務の流れが参考になります。

例えば、売却の打診が来たけれど手取りがいくらになるか分からない、同業の会社を買って事業を広げたい。こんな状況なら、M&Aの税務にも相談に乗れる顧問税理士を探しておくと話がずっと進めやすくなります。

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よくある質問

M&Aの税務は、今の顧問税理士に頼めますか?

頼めることもあります。ただ、M&Aや組織再編の税務は経験の差が出やすいので、対応できる範囲を確認しましょう。足りない部分だけ別の税理士に頼む形も選べます。

小さな会社のM&Aでも税務デューデリジェンスは必要ですか?

株を買って会社をまるごと引き継ぐなら、規模に関係なく過去の申告の問題も引き継ぎます。どこまで調べるかは、取引の大きさに合わせて税理士と相談してください。

組織再編で節税はできますか?

合併や分割は、要件を満たすかどうかで課税の扱いが変わります。節税だけを目的に進めるのではなく、事業上の理由とあわせて税理士に確認しながら進めてください。

まとめ

この記事の要点
  • M&Aの税務は、契約の形を決める前から税理士に相談する
  • 株式譲渡と事業譲渡では、税金がかかる相手やかかり方が変わる
  • 買う側は税務デューデリジェンスで、引き継ぐ税務リスクを確かめる
  • 今の顧問税理士で足りない部分だけ、M&Aに強い税理士に頼む形も選べる
顧問税理士の選び方ナビ

顧問税理士の選び方ナビ 編集部

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