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会社を作ってプロダクト開発に集中したい。でも、経理や税金のことも気になっている。スタートアップの創業者なら、一度はそう感じたことがありますよね。
結論から言うと、スタートアップの顧問税理士は「資金調達の前」に決めておくのが楽です。投資家に出す数字や株の話は、後からまとめて整えるのが大変だからです。
この記事では、どの段階で顧問を付けるか、税理士法人と個人の事務所のどちらが合うか、そして費用の目安が分かります。
スタートアップは税理士法人と個人事務所のどちらに頼む?
資金調達や採用を続けて事業を大きくしていくなら、担当が複数いて引き継ぎに強い税理士法人が合いやすいです。設立直後で取引が少なく、代表と税理士が直接やり取りしたいなら個人事務所も選べます。形よりも「スタートアップの資金調達や株の話を扱ったことがあるか」で選ぶのが大切です。
『ベンチャーに強い税理士って、結局どこを見ればいいの?』と迷う方も多いはずです。
税理士の仕事は、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つで、これは税理士か税理士法人にしかできない独占業務です。どの税理士も申告はできます。差が出るのは、スタートアップ特有の話をどこまで先回りして相談に乗れるかなんです。
例えば、こんな会話が顧問選びの面談でよく出ます。
「来年あたりにシード調達を考えているんですが、今から準備しておくことはありますか?」
「株主の構成と、毎月の試算表を早めに出せる体制を作っておきましょう」
ここで具体的な答えが返ってくるかどうかが、相性を見るポイントになります。
顧問税理士を頼むべき時期の目安
スタートアップの税務は、会社の段階で必要なことが変わります。まずは、ご自身の会社がどこにいるか当てはめてみてください。
| 会社の段階 | 税理士に頼みたいこと | 顧問の付け方 |
|---|---|---|
| 設立前・設立直後 | 資本金や決算月の決め方、設立後の届出 | スポット相談でも可 |
| 創業融資を申し込む時 | 事業計画書づくりの助言、融資に向けた数字の整理 | 顧問を付け始める目安 |
| 資金調達の前 | 株主構成の確認、毎月の試算表、投資家に出す資料の数字 | 顧問契約がおすすめ |
| 資金調達の後・採用が増える時 | 給与と源泉徴収、年末調整、決算の早期化 | 顧問契約(記帳や給与計算も相談) |
| 事業が大きくなってきた時 | 消費税やインボイスの対応、税務調査への備え | 顧問契約(担当体制も見直す) |
この表で伝えたいのは、税理士を付けるのは「売上が立ってから」ではないということです。スタートアップは赤字の期間が長いことも多いですよね。
ただ、赤字でも法人税の申告は毎年あります。事業年度が終わった日の翌日から2か月以内が申告の期限です。定款の定めなどで決算の総会が2か月以内に開けない場合は、届出をすると原則1か月延長できます。

創業融資を考えるなら早めに
創業期の資金として、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」を検討する方もいるはずです。
日本政策金融公庫の案内ページによると、対象は新たに事業を始める人か、事業開始後おおむね7年以内の人です。融資限度額は7,200万円とされています。
ここで税理士がかかわるのが利率の条件です。自分で事業計画書を作り、認定経営革新等支援機関の指導と助言を受けている方は、特別利率Aの対象になるとされています。
認定経営革新等支援機関には税理士も含まれます。顧問候補が認定を受けているかは、中小企業庁の認定経営革新等支援機関のページにある検索システムで調べられます。
もちろん、審査の結果で希望どおりにならないこともあります。融資の可否まで税理士が約束できるわけではない点は、知っておきましょう。
スタートアップならではの税務の悩み
ここが大事なところです。スタートアップの税務は、普通の中小企業と少し違う場面が出てきます。
株と資金調達にかかわる話
資金調達では、誰がどれだけ株を持つかが決まっていきます。創業メンバーの持ち分や、投資家に新しく株を発行する時の値段は、税金にもかかわる話なんです。
『株の話は弁護士の担当では?』と思うかもしれません。契約書は弁護士の領分でも、株の値段や移し方によって税金がどうなるかは税理士に聞く場面があります。両方の専門家が話せる状態にしておくと安心です。
ストックオプションを社員に出したいという相談もよく出ます。設計のしかたで税金の扱いが変わることがあるので、制度を作る前に税理士に確認しておきましょう。
代表のお金と会社のお金を分ける
創業期は、代表が個人のカードで会社の経費を立て替えることがよくありますよね。
少額のうちは気になりませんが、積み重なると「どれが会社の支払いか」が分からなくなります。資金調達の前に投資家が帳簿を確認する場面で、説明に時間がかかることも。
会社の口座とカードを早めに作り、立て替えた分は毎月精算する。これだけで、顧問税理士とのやり取りもぐっと楽になります。
「領収書は全部とってあるんですが、どれが会社のものか分からなくて」という相談は、顧問を付けた最初の月によく出る話です。そうなる前に整えておきましょう。
毎月の数字を早く出す体制
投資家やベンチャーキャピタルが株主に入ると、毎月や四半期ごとに数字の報告を求められることが多くなります。
決算の時だけ帳簿をまとめる進め方だと、ここで追いつかなくなることも。月次の試算表をいつまでに出せるかは、顧問を選ぶ時に聞いておきたい点です。
人を雇い始めた時の手続き
社員を雇うと、給与から所得税を差し引いて納める源泉徴収が始まります。原則は、給与を払った月の翌月10日までに納めます。
給与を受ける人が常に10人未満なら、納期の特例を使えます。この場合は1月から6月分を7月10日まで、7月から12月分を翌年1月20日までにまとめて納めます。
年末には年末調整があり、源泉徴収票などの法定調書は原則として翌年1月31日までに出します。採用が一気に増える時期は、ここで手が回らなくなりやすいんです。
消費税とインボイス
インボイス制度は令和5年10月1日に始まりました。取引先が企業中心のスタートアップは、インボイス登録を求められる場面が多いですよね。
免税事業者が登録して課税事業者になった場合の「2割特例」は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日を含む課税期間が対象です。自社が当てはまるか、いつまで使えるかは税理士と確認しておきましょう。
税務調査への備え
『創業したばかりの会社に税務調査なんて来るの?』と思う方もいるかもしれません。
国税庁の公表では、令和6事務年度の法人税の実地調査は5万4千件でした。会社の規模や年数にかかわらず、連絡が来る可能性はあります。
税務調査の前には、原則として電話で事前通知があります。事前に同意しておけば、税務代理権限証書を出している税理士に通知してもらう形にもできます。
顧問がいれば、調査の立会いも頼めます。資金調達で取引が複雑になった会社ほど、日ごろの帳簿を顧問と一緒に整えておくと落ち着いて対応できます。
税理士法人と個人事務所の違い
ここで、税理士法人と個人の事務所の違いを比べてみます。どちらが上ということではなく、合う会社が違います。
| 比べる点 | 税理士法人 | 個人の事務所 |
|---|---|---|
| 担当の体制 | 複数の担当がいることが多い | 税理士本人が直接見ることが多い |
| 担当の交代 | 社内で引き継げる | 本人が対応できないと止まりやすい |
| 相談の幅 | 部署や担当ごとに分かれて対応できることがある | 本人の得意分野に左右される |
| 代表とのやり取り | 窓口が担当者になることがある | 税理士と直接話しやすい |
| 向いている会社 | 調達と採用を続けて大きくしていく会社 | 設立直後で取引が少ない会社 |
税理士法人の届出数は5,346件で、税理士の登録者数は82,682人です(日本税理士会連合会)。選択肢は多いので、比べてから決めて大丈夫です。
『大きい法人の方が安心そう』と感じる方もいるはずです。ただ、担当者がスタートアップに慣れていなければ、法人の大きさはあまり意味がありません。最初の面談で、実際に担当する人と話してみてください。

失敗しない選び方のチェック
候補が見つかったら、次の点を面談で確かめてみましょう。
- 資金調達の前後の会社を担当したことがあるか
- 月次の試算表をいつまでに出してもらえるか
- 使っている会計ソフトやクラウドツールに対応しているか
- 認定経営革新等支援機関の認定を受けているか
- 担当が変わる時の引き継ぎはどうなるか
「ベンチャー支援」の中身を確かめる
ホームページで「スタートアップ支援」「ベンチャーに強い」とうたう事務所はたくさんあります。
ただ、言葉だけでは中身が分かりませんよね。面談では「どの段階の会社を、どんな形で手伝ってきたか」を具体的に聞いてみてください。
例えば「創業融資の事業計画書づくりを手伝った」「調達後の月次報告の体制を作った」など、場面が出てくるかどうかが目安です。答えがあいまいなら、他の候補とも比べてから決めましょう。
税理士かどうかは、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で調べられます。ちなみに同サイトでは、民間の税理士紹介サイトは日本税理士会連合会と関係ないと書かれています。
探し方の手順は 税理士の探し方 で、経営の助言まで頼みたい場合は コンサルタント型の税理士の選び方 で詳しく紹介しています。
顧問料の目安と具体例
税理士の報酬には、国が決めた基準がありません。税理士会の報酬規定は2002年に廃止され、いまは依頼内容に応じて各税理士が決めています。
ここでは税理士ドットコムが示す法人の顧問契約の目安を挙げます。顧問料は毎月訪問の場合の月額、決算料は年額です。民間の目安なので、実際の金額は見積もりで確認してください。
| 年間売上(税理士ドットコムの目安) | 顧問料(毎月) | 3か月に一度 | 決算料 |
|---|---|---|---|
| 1,000万円未満 | 25,000円〜 | 20,000円〜 | 100,000円〜 |
| 1,000万〜3,000万円未満 | 30,000円〜 | 25,000円〜 | 120,000円〜 |
| 3,000万〜5,000万円未満 | 35,000円〜 | 30,000円〜 | 140,000円〜 |
| 5,000万〜1億円未満 | 40,000円〜 | 35,000円〜 | 160,000円〜 |
| 1億〜5億円未満 | 60,000円〜 | 50,000円〜 | 240,000円〜 |
記帳代行を頼むと、月額で5,000円〜(売上5,000万円以上は10,000円〜)が加わる目安です。
具体例で考えてみる
例えば、設立1年目で年商がまだ1,000万円未満、創業者2人で開発中のソフトウェア会社のケースです。取引が少ないうちは、3か月に一度の面談で顧問を付け、記帳は自社で進める形も選べます。
次の例は、資金調達を終えて従業員が15人ほどに増え、年商が5,000万円から1億円の間にあるケースです。給与計算や年末調整、投資家への月次報告が重なるので、毎月の顧問に記帳や給与の相談まで含めた方が回りやすくなります。
もう1つ、創業融資を申し込む直前のケースも考えてみます。年商はまだ1,000万円未満でも、事業計画書づくりの助言をもらうなら、認定経営革新等支援機関の税理士と早めに顧問契約を結んでおく選び方があります。
同じ「スタートアップ」でも、段階によって頼む範囲はこれだけ変わります。顧問料全体の考え方は 税理士の顧問料相場 も参考にしてみてください。
資金調達の準備を始めた。採用が増えて給与の手続きが回らない。投資家への報告用の数字を毎月そろえたい。こうした状況なら、スタートアップに慣れた顧問税理士を探しておくと、本業に時間を使えるようになります。
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記帳や申告に手が回らない、法人化を考えている、今の税理士の対応に不満があるといった場合は、条件に合う顧問税理士を紹介してもらうのが近道です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から、予算や業種に合う税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
設立前から税理士に相談した方がいいですか?
資本金や決算月は設立の時に決めるので、迷うなら設立前のスポット相談が役立ちます。顧問契約は創業融資や資金調達の準備を始める頃から考える方が多いです。
赤字のスタートアップでも顧問税理士は必要ですか?
赤字でも法人税の申告は毎年あります。事業年度が終わった翌日から2か月以内が期限です。自社で申告まで進められるかどうかで決めてみてください。判断に迷う時は、顧問税理士がいらないケースの記事も参考になります。
ベンチャーキャピタルから税理士を紹介されることはありますか?
投資家から紹介を受ける会社もあります。紹介でも自分で探しても、担当者がスタートアップに慣れているかを面談で確かめることが大切です。
税理士法人と個人事務所で顧問料は変わりますか?
公的な基準がないので、どちらが高いとは言えません。依頼する範囲や面談の頻度で見積もりが変わるため、同じ条件で複数の事務所に見積もりを取って比べてみてください。
途中で顧問税理士を変えてもいいですか?
変えることはできます。資金調達の前後で必要な対応が増え、今の税理士では手が回らないと感じたら見直しどきです。決算の直前を避け、引き継ぎの資料をそろえてから切り替えると混乱が少なくなります。
まとめ
- スタートアップの顧問税理士は資金調達の前に決めておくと楽
- 創業融資では認定経営革新等支援機関の助言が利率の条件にかかわる
- 株・月次の数字・採用・インボイスがスタートアップで出やすい論点
- 調達と採用を続けるなら税理士法人、設立直後なら個人事務所も選べる
- 顧問料に公的基準はなく、民間の目安と見積もりで判断する





