当サイトは国税庁・日本税理士会連合会などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
本業が忙しくて、領収書の束を見るたびに『もう全部、税理士さんに任せてしまいたい』と思うこと、ありますよね。
結論から言うと、税理士への丸投げは「任せる範囲」と「自分が見る所」を決めておけば、デメリットはかなり小さくできます。この記事を読めば、任せきりで困りやすい場面と、その防ぎ方が分かります。
税理士に丸投げすると、何が困るの?
税理士に丸投げするデメリットは、自社の数字が見えなくなること、資料の遅れで期限が迫ること、費用が上がること、申告内容を自分で説明できなくなることの4つです。どれも、月に一度数字を見る時間を取り、頼む範囲を書面で決めておけば防ぎやすくなります。
丸投げと言っても、税理士が勝手に帳簿を作ってくれるわけではないんです。領収書や通帳、請求書などの資料を渡すのは、依頼する側の仕事です。
ここを誤解したまま契約すると、『全部やってくれると思っていたのに』という行き違いが起きます。まずは、よくある困りごとを順番に見ていきましょう。
| 困りごと | 起きやすい場面 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 自社の数字が見えない | 試算表を受け取っても読まない | 月1回、売上と利益だけでも確認する |
| 期限ぎりぎりになる | 資料をまとめて年末に渡す | 毎月の締め日に資料を送る |
| 費用が上がる | 記帳から給与計算まで全部頼む | 自社でできる作業を残す |
| 内容を説明できない | 税務署から質問が来た時 | 大きな取引は理由をメモしておく |
自社の数字が見えなくなる
丸投げでよく起きるのが、自分の会社がいくら儲かっているのか分からなくなることです。帳簿は税理士事務所の中で完成し、決算の時に初めて結果を知る、という流れになりがちなんです。
例えば、年商3,000万円の小売店を法人で営むケースを考えてみてください。仕入れが増えて利益が減っていても、決算まで気づかなければ、値上げや仕入れ先の見直しが遅れてしまいます。
資料の遅れで期限が迫る
法人税の確定申告は、事業年度が終わった日の翌日から2か月以内が期限です。資料を一年分まとめて渡すと、税理士側の作業がこの2か月に集中します。
『税理士さんに渡したから大丈夫』と思っていても、資料が足りなければ作業は止まります。結果として、確認の時間が取れないまま申告することにもなりかねません。
任せきりで困るのは、どんなケース?
実は、丸投げで困るかどうかは、会社の規模よりも「任せ方」で決まることが多いんです。ここでは、よく見かける3つのケースを紹介します。
申告の内容を税務署に聞かれた時
申告書は、税理士が作っても納税者本人の申告として出されます。税務署から取引について質問が来た時、答えるのは基本的に経営者自身です。
税理士が税務代理をする場合は、税務代理権限証書を税務署に出しておくことで、税務調査の立会いなどを任せられます。ただ、個々の取引の中身を知っているのは経営者なので、まったく説明できない状態は避けておきたいところです。
例えばこんなやりとりは、実際によくあります。
「この外注費は、どんな仕事をお願いしたものですか?」
「ええと、税理士さんに全部任せていたので…」
こうならないよう、金額の大きい取引には、何のための支払いかを一言メモしておくだけでも違います。
頼んでいない作業まで任せたつもりになっていた時
顧問契約に含まれる作業は、事務所ごとに違います。記帳代行や年末調整、給与計算は、別料金になっていることも多いんです。
『年末調整もやってくれると思っていた』という行き違いは、契約時に範囲を確かめていないと起きやすくなります。年末調整の頼み方は年末調整代行の流れと料金でも解説しています。
経営判断の相談ができていなかった時
丸投げの状態だと、税理士とのやりとりが資料の受け渡しだけになりがちです。せっかく顧問契約をしていても、節税や資金繰りの相談をする機会を逃してしまうことも。
税理士は、税金の計算に関する具体的な相談に答えられる専門家です。数字を見ながら相談する時間があってこそ、顧問料の価値を感じやすくなります。
丸投げすると費用はどのくらい上がる?
ここが気になる方も多いはずです。税理士の報酬は、税理士会の報酬規定が平成14年3月31日に廃止されてから、事務所ごとに自由に決められています。
そのため公的な相場はありませんが、税理士ドットコムが示す目安では、法人の記帳代行は顧問料に月額+5,000円からの上乗せになっています。
| 年間売上(法人) | 顧問料(毎月訪問) | 記帳代行(月額) | 決算料 |
|---|---|---|---|
| 1,000万円未満 | 25,000円〜 | +5,000円〜 | 100,000円〜 |
| 1,000万〜3,000万円未満 | 30,000円〜 | +5,000円〜 | 120,000円〜 |
| 3,000万〜5,000万円未満 | 35,000円〜 | +5,000円〜 | 140,000円〜 |
スポットの目安では、記帳代行は1仕訳50〜100円、給与計算は1人1,000円とされています。頼む作業が増えるほど、毎月の支払いも増えていく形です。
ただ、費用が上がることだけでデメリットとは言い切れません。経理担当を雇う手間や、自分が帳簿に使っていた時間と比べてみると、丸投げのほうが割に合うこともあります。費用の考え方は経理代行の相場と顧問料の違いも参考にしてみてください。

丸投げで失敗しないための対策は?
結論から言うと、「全部任せる」のではなく「作業は任せて、数字は自分で見る」形にするのがおすすめです。具体的には、次の点を契約前と契約後に確かめておきましょう。
- 顧問料に記帳代行・年末調整・給与計算が含まれるかを書面で確認する
- 資料を渡す締め日(毎月何日までか)を決める
- 試算表や月次の報告をいつ受け取れるかを決める
- 大きな取引や新しい取引は、事前に相談する約束をする
- 税務調査の時に立ち会ってもらえるか、費用は別かを確認する
月に一度、3つの数字だけ見る
『数字を見るのは苦手で…』という方もいますよね。最初は売上、利益、手元の預金残高の3つだけで十分です。
試算表を受け取ったら、先月と比べて大きく動いた所がないかを見てみてください。気になった所を一つ税理士に聞くだけでも、任せきりの状態から抜け出せます。
資料は毎月まとめて送る
領収書や請求書は、月末に封筒に入れて送る、クラウドにまとめて上げるなど、決まった手順にしておくと楽になります。年に一度まとめて渡すより、税理士側の確認の時間も取りやすくなるんです。
もし帳簿が何か月分も溜まっているなら、先にまとめて片付ける方法もあります。詳しくは溜まった帳簿の記帳代行で紹介しています。
丸投げで楽になる人の条件
次のような状況なら、作業を税理士に任せたほうが、本業に時間を使えて楽になるはずです。
- 売上が伸びて、記帳が月末に追いつかなくなってきた
- 従業員を雇い、源泉所得税や年末調整の手続きが増えた
- 法人化して、決算や法人税の申告が初めてで不安がある
こうした状況で、数字の相談まで乗ってくれる顧問税理士を探すなら、紹介サービスで条件に合う税理士を比べてみるのも一つの方法です。
税理士ドットコム
あなたの業種・規模に合う顧問税理士を無料で紹介
記帳や申告に手が回らない、法人化を考えている、今の税理士の対応に不満があるといった場合は、条件に合う顧問税理士を紹介してもらうのが近道です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から、予算や業種に合う税理士を無料で紹介してもらえます。
紹介料無料税理士ドットコムで顧問税理士を紹介してもらう(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)
よくある質問
税理士に丸投げすると、申告のミスは税理士の責任になりますか?
申告書は納税者本人の申告として出されるため、加算税などは納税者にかかります。税理士とのやりとりの中で何をどこまで任せたかによって扱いが変わるので、契約内容は書面で残しておきましょう。個別の判断は税理士に確認してみてください。
丸投げでも、自分でやっておくべきことはありますか?
領収書や請求書、通帳の資料を期限までに渡すこと、取引の中身を一言メモしておくこと、月に一度は試算表で売上と利益を見ることの3つです。これだけでも任せきりで困る場面はかなり減ります。
記帳だけ自分でやって、申告だけ税理士に頼むこともできますか?
できます。会計ソフトで記帳まで自分で行い、決算と申告を税理士に頼む形は、費用を抑えたい方によく選ばれています。決算だけ頼む場合の流れは関連記事で紹介しています。
まとめ
- 丸投げのデメリットは、数字が見えない・期限が迫る・費用が上がる・説明できないの4つ
- 資料を渡すのは依頼する側の仕事で、締め日を決めておくと期限に余裕が出る
- 記帳代行や給与計算は別料金のことが多いので、範囲を書面で確かめる
- 作業は任せても、月に一度は売上・利益・預金残高を自分で見る




