当サイトは国税庁・日本税理士会連合会などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
障害福祉事業所を始めたものの、国保連からの入金と自分の帳簿が合わなくて頭を抱えている方も多いはずです。
結論から言うと、税理士選びは「給付費の請求と入金のズレを帳簿で追えるか」で決めるのが近道です。この記事を読むと、障害福祉事業所の顧問税理士を面談で見極めるポイントが分かります。
障害福祉事業所の税理士選びで、まず見るべき所は?
障害福祉事業所の税理士は、国保連への請求額・実際の入金額・返戻や過誤の差額を、月ごとに帳簿でつなげて説明できる人を選びましょう。福祉の制度に詳しいだけでは足りず、そのお金の流れを会計に落とし込めるかが分かれ目です。
障害福祉サービスの売上は、利用者から直接もらうお金より、市区町村から国保連を通して入る給付費が中心ですよね。
ここが一般の店舗やサービス業と大きく違うところなんです。売上を立てる月と、お金が口座に入る月がずれるからです。
『売上なんて入金を見れば分かるでしょ』と思うかもしれません。ただ、入金だけを見ていると、どの月のサービス分がいくら入ったのかが分からなくなります。
例えば、こんな会話になりがちです。
「先月の入金、請求した額より少ないんですけど」
「返戻になった分ですね。翌月の再請求で入ってきますよ」
この説明をすぐにしてくれて、帳簿のどこに残っているかまで見せてくれる税理士なら安心です。
国保連からの給付費はいつ入る?入金のズレを知っておきましょう
障害福祉サービスと障害児通所支援は、一部を除いて国保連に電子請求する仕組みです(板橋区「障害福祉サービスおよび障害児通所支援の請求・過誤申立手続きについて」)。
流れの一例として、杉並区の事業所説明会資料では次のように説明されています(杉並区 令和6年度障害福祉サービス等に関する事業所説明会資料「国保連請求事務」)。
| 段階 | 杉並区資料での時期の目安 | 帳簿で気をつけること |
|---|---|---|
| 国保連への請求 | 毎月10日まで | どの月のサービス分かを記録する |
| 一次審査結果の送信 | 20日頃 | 返戻になった分を把握する |
| 二次審査結果の送信 | 25日頃 | 確定した額と請求額の差を確認 |
| 給付費等の支払 | 請求の翌月15日 | 入金額と請求額を照合する |
| 返戻後の再請求分の支払 | 翌々月15日頃 | 前の月の未収分を消し込む |
細かい日程は、事業所のある自治体や国保連の案内で確かめておきましょう。
ポイントは、サービスを提供してから入金までに時間がかかることです。例えば4月に提供したサービスは5月10日までに請求し、杉並区資料の流れでは支払が6月15日になります。
この間も職員の給料や家賃は毎月出ていきますよね。だからこそ、未収の給付費がいくら残っているかを毎月つかめる体制が欠かせません。
返戻と過誤は、帳簿の上でどう違う?
杉並区の資料では、返戻は支払確定前の請求を差し戻すこと、過誤は支払が確定した請求を取り下げることと説明されています。
どちらも翌月に再請求が必要です。つまり、同じ利用者の同じ月の売上が、2回に分かれて入ってくることがあるんです。
『入金がまとめて来たから、全部今月の売上でいいか』と処理してしまうと、月ごとの数字がぶれます。返戻・過誤の扱いを最初から決めてくれる税理士かどうかは、面談で聞いておきたいところです。

給付費以外にも、障害福祉事業所ならではの論点があります
実は、入金管理以外にも業種ならではの確認事項がいくつかあります。代表的なものを見ておきましょう。
消費税の扱いを確認してくれるか
国税庁は、社会福祉法に規定する社会福祉事業等によるサービスの提供などを、消費税の非課税取引として挙げています(国税庁 タックスアンサー No.6201 非課税となる取引)。
ただ、事業所の収入には給付費のほかに、利用者から受け取る実費などが混ざることもあります。どれが非課税でどれが課税になるかは、取引ごとに税理士に確認しておきましょう。
インボイス登録をするかどうかも、この売上の中身しだいで考え方が変わります。
人件費と加算の管理を一緒に見てくれるか
障害福祉事業所は、支出の多くが人件費になりやすい業種ですよね。
処遇改善の加算のように、受け取った額と職員への支払を後から説明する必要が出てくる場面もあります。要件の細かい中身は、指定権者(都道府県や市)の案内で確かめておきましょう。
税理士に頼む時は、加算の入金と賃金の支払を帳簿の上で分けて追えるようにしてもらうと、報告の時期に慌てずに済みます。
源泉徴収と年末調整まで頼めるか
職員を雇うと、給与から源泉所得税を差し引いて納める仕事が毎月発生します。原則は支払った月の翌月10日までに納付です。
給与の支給人員が常時10人未満なら納期の特例があり、1月から6月分は7月10日、7月から12月分は翌年1月20日にまとめて納められます(国税庁 タックスアンサー No.2505)。
給与計算を社労士に頼むか、税理士にまとめて頼むかも、早めに決めておくとスムーズです。分担のしかたは社労士と税理士の分担の考え方も参考にしてみてください。
事業所の規模で、頼み方はこう変わります
『うちはまだ小さいし、顧問まで要るのかな』と迷う方もいますよね。規模ごとの目安を表にしてみました。
| 事業所の状況 | 向いている頼み方 | 理由 |
|---|---|---|
| 開所前で融資を検討中 | 開業前から顧問契約 | 事業計画と資金繰り表を一緒に作れる |
| 1事業所・職員数名・法人 | 顧問契約(訪問は3か月か6か月に一度でも可) | 給付費の未収管理と決算を任せられる |
| 複数事業所を運営 | 毎月の顧問契約 | 事業所ごとの損益を月次で見られる |
| 記帳は自分でできている | 決算申告だけのスポット依頼 | 費用をおさえつつ申告の質を保てる |
例えば、職員5人ほどの就労系の事業所を株式会社で1か所運営しているケースなら、記帳はクラウド会計で自分たちが入力し、月次のチェックと決算を税理士に頼む形もよくあります。
一方で、2か所目の開所を考えているなら、事業所ごとに数字を分けて見られる顧問の方が向いています。費用感は障害福祉事業所の税理士顧問料の相場で詳しく見てみてください。
面談で確かめたいことをチェックしておきましょう
税理士との面談では、次の点を聞いてみてください。答え方を聞くと、その業種にどれくらい慣れているかが見えてきます。
- 国保連の請求額と入金額のズレを、毎月どう記帳するか
- 返戻・過誤があった時、売上と未収金をどう直すか
- 給付費と利用者負担分を分けて管理できるか
- 消費税の課税・非課税をどう判定するか
- 加算の入金と職員の賃金を追える形にできるか
- 給与計算や年末調整をどこまで任せられるか
「返戻が出た時はどう処理していますか?」と聞いて、具体的な手順がすっと出てくる税理士なら頼もしいです。
ただ、制度の請求事務そのもの(請求ソフトへの入力や加算の算定)は、税理士の本来の仕事とは別のことが多いです。どこまで頼めるかは、契約前に線引きしておきましょう。
開所したばかりで記帳が追いつかない、2か所目の開所を考えている、給付費の未収がいくら残っているか分からない。そんな状況なら、障害福祉事業所の会計に慣れた顧問税理士を探すと、毎月の数字がぐっと見やすくなります。
税理士ドットコム
あなたの業種・規模に合う顧問税理士を無料で紹介
記帳や申告に手が回らない、法人化を考えている、今の税理士の対応に不満があるといった場合は、条件に合う顧問税理士を紹介してもらうのが近道です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から、予算や業種に合う税理士を無料で紹介してもらえます。
紹介料無料税理士ドットコムで顧問税理士を紹介してもらう(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)
よくある質問
障害福祉に詳しい税理士はどうやって探せばいいですか?
日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで、登録している税理士かどうかを確認できます。そのうえで面談の時に、障害福祉事業所の顧問先があるか、給付費の入金管理をどう記帳しているかを聞いてみると、慣れ具合が分かります。
給付費の請求事務も税理士に任せられますか?
国保連への請求そのものは、税理士の税務業務とは別の事務です。請求ソフトの入力や加算の算定は、事業所の中で行うか、請求事務の代行先に頼むのが一般的です。税理士には、その請求データと入金を帳簿でつなげる部分を任せる形が分かりやすいです。
障害福祉事業所の売上に消費税はかかりますか?
国税庁は社会福祉事業等によるサービスの提供などを非課税取引に挙げています。ただし、利用者から受け取る実費など、取引によって扱いが変わることもあるので、判断は税理士に確認してみてください。
まとめ
- 障害福祉事業所の税理士は、給付費の請求額と入金額のズレを帳簿で追えるかで選ぶ
- 杉並区資料の流れでは、国保連への請求は毎月10日まで、支払は請求の翌月15日
- 返戻・過誤は翌月に再請求が必要で、売上と未収金の処理を最初に決めておく
- 消費税の課税・非課税、加算と人件費、源泉徴収も面談で確認する
- 事業所の数や規模で、顧問契約かスポット依頼かを選ぶ




